書籍『d design travel』の発刊やイベント「NIPPON VISION」などを通じて、バラエティに富んだ日本各地の地域文化を紹介してきたD&DEPARTMENTが、はじめて“子どものための道具”にフォーカスした展覧会を実施。開催当時に行われたD&DEPARTMENT代表のナガオカケンメイさんへのインタビューから、地域性を活かした日本の物づくりや、そこから見えてくる“日本の未来”について考えます。
本展で紹介されたのは、日本全国各47都道府県それぞれの土地の技術や資源など、地勢を活かした玩具や食器、衣服や家具など、衣食住に関わる生活全般の品々です。
「単に子どもらしく、可愛いものではなく、子どもたちが使って本当に役に立つのか、気持ちいいのかというところを第一の基準にしています。また、紹介する製品の裏側に、それぞれの地域特性がきちんと反映されていることを展覧会を通じて伝えていきたいとも考えています」
D&DEPARTMENT代表で、デザイナーのナガオカケンメイさんは、本展についてこのように答えます。なぜ、このタイミングで子どもにフォーカスすることになったのだろう。
「『Good Job!』展の審査員を担当したことがきっかけです。Good Job!は障害のある人たちから生まれたアートやプロダクトを紹介するもの。この仕事を通じて、いわゆる社会的弱者と呼ばれる人たちも世界を構成しているメンバーの一人であり、彼らにも明確な意志があることを痛感し、それは子どもたちにとっても同じことではないかと考えるようになったんです」
これまでに培った全国各地のネットワークを駆使し、本展のためにD&DEPARTMENTは各地から厳選したアイテムを揃えました。
「各地の産業の様子はしっかりと認識していたつもりでしたが、子どもというファクターを加えると、いままでとは違った日本のものづくりの様子も見えてきます。従来は、壊れにくくて、安価なものが子ども用品を選ぶときの基準だったのに対し、陶磁器や漆器など、本質的なもので、世代を超えて使い続けられるものが重要視されるようになってきていると思います」
いかにメイド・イン・ジャパンのものが、我々が生活をする環境、そして暮らしの感覚に近いところから生まれているのか。それを子どもたちのために選ぶことが、日本の未来にもつながっていくような気がします。
掲載元:Fasu(旧:MilK JAPON WEB)、本当に良い日本のものを、子どもたちに。ナガオカケンメイさんのインタビュー。
デザイン活動家
ナガオカケンメイ
デザイン活動家
ナガオカケンメイ
すでに世の中に生まれたロングライフデザインから、これからのデザインの在り方を探る活動のベースとして、47の都道府県にデザインの道の駅「D&DEPARTMENT」を作り、地域と対話し、「らしさ」の整理、提案、運用をおこなっている。’09年より旅行文化誌『d design travel』を刊行。’12年より東京渋谷ヒカリエ8/にて47都道府県の「らしさ」を常設展示する、日本初の地域デザインミュージアム「d47 MUSEUM」を発案、運営。’13年毎日デザイン賞受賞。京都造形芸術大学教授・武蔵野美術大学客員教授。
www.nagaokakenmei.com
Fasu
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あたらしい時代に生きる家族のためのライフスタイルメディア。東京、そして世界中からピックアップする、ベビー、キッズ、ティーン、そしておとなの最新ファッション情報を筆頭に、美意識を高めるインテリア、アート情報、一歩先行くグローバルなエデュケーションコンテンツをハイエンドなビジュアルとクオリティで展開。ウェブに基軸をおきながら、ワークショップやイベントなど、オフラインでの活動も定期的に開催。子どもも親も楽しめる、明日の家族=Fasuに向けた時代のあたらしいスタンダードを提案します。