美意識を磨いて、映画から写真のインスピレーションを受けよう!

美意識を磨いて、映画から写真のインスピレーションを受けよう!
Text by Akiomi Kuroda

自他共に認める? 映画好きとして特に有名でもない @crypingraphy です。映画って良いですよね。最近は忙しぶっていてあまり映画に溺れるということもないのですが、写真に没頭する前は、暇さえあれば映画鑑賞と料理といったインドアな人生を過ごしていました。

映画から多大な影響をうけている

よく自分の写真をみてくれている友人や先輩のフォトグラファーにも映画との関連性を指摘されることがあるんですよね。
例えば背景ありきで撮影している点を、過去HASEOさんに看破されたことがありますが、それもやはり映画や絵画の鑑賞が写真をはじめる前から好きだったというところに起因しているのかなと。言われてみると「確かになあ」と得心した記憶が。
また、初めての場所であったり複数人を使った撮影をそこまで苦としたことがなく、いや、まあ難しいんですけどそれはそれで楽しんでいる節があったり、「こうしたらおもしろいかな」「ああしてみよう」と言った発想に困ったことはあまりないのですね。

そうしたことを振り返り、ふとこれまで積み上げてきたインプットに感謝したりしています。

インスピレーションをうけるということ

浅岡さんが以前に、自分の中の美意識をみつめなおすという記事で、美意識に磨きをかけておきましょうという話をしていますが、その点について身をもって体感していると言っても良いです。
写真をはじめる前から、映画に限らず美しいものや創作物、感動するモノから理解不能なモノまで含めて暇があれば美術館を訪れたりと日常的に行っていて、そういう積み重ねてきたインプットが今写真を撮っていて活きているなと切に感じるのです。
映画はエンターテイメント性の強いものからアート性の強いものまで色々ありますが、技術的にも写真と近いので二次的な影響をうけやすいのかなと思います。

ゴッドファーザーに影響を受けた写真
Sony A7R II / Sony FE 50mm F1.4

例えばこの写真なんかは、その場でなんとなく思いついて撮影してみたものですが、ゴッドファーザーにシーン的にもライティング的にも影響をうけているなと感じます。モデルの方に指示をする際にも、目線や腕の置き方などを伝えたのですが、頭のなかに「あのシーンのような内面的な奥行きを表現したい」といった思いがありました。トップに掲載している画像に関しても同様の事が言えますね。この日は別のカットを撮影するために組んだのですが、余った時間で好きなようにやった結果、自分の中でリンクしたイメージが実現したといった感じですね。

後述しますが、絵的なところで再現したいということと、そのシーンを表現したいということには大きな隔たりがあるとも思っています。前者だけに陥らないように注意することだけは常に自戒しています。そういったものは希薄な作品になってしまいがちなので。この写真も、具体的なシーンが何だったのかは思い出せないのですが、自分の中にゴッドファーザーを観たときの感動が残っていて、あの漂うかなしさを表現したかったのです。

映画鑑賞の際に気にしたいポイント

だらだらと書いてみましたが、本題に入りますね。
個人的に映画を鑑賞する際に気にしているポイントをまとめてみたいと思います。
とくに、写真をはじめてから意識的に観るようになったポイントが多いですかね。

色による効果の写真

まずは色ですね。映画や動画の場合は、カラリストといって色だけを担当する方がいて、色による効果でそのシーンで伝えたい感情を表現したりします。映画全体的なトーンもそうですし、シーンごとのイメージなんかも色によって表現されたりと、重要な役割を担っているポイントですよね。以前、映画のような写真をテーマにセミナーをやらせていただいた事がありますが、そこでは映画における色調補正について語りました。

色々な映画を参考に、その中で特徴的に使われているカラースキーマを参考に色づくりをしていくというのは一つの手段として有効だと思います。映画を観ながら、「ああ、この色合いは素敵だな」と感じたことを頭の片隅にいれておくと知らずのうちに良い影響を自分の中に蓄積できるかもしれません。

ライティング

ライティングによる効果の写真

次にライティング。映画中のライティングは恐ろしいほど考えられていて、ライティング専門のスタッフが書かれている記事や背景をみていても理解不能な繊細さなんですよね。

特に自分が気をつけているのは、人物の明るさにこだわらないという点。例えばポートレートを撮影していると、人物の顔の明るさは適正露出で!なんていう考えに持っていかれがちなんですが、映画を注意深く観察しているとフォーカスされている人物の顔は判断できないような暗さだったりします。

実際現実で我々が目にしている知人や周りの人間にしても同様で、常に顔が適正露出なんてことはないんですよ。例えば上で掲載した写真のように、顔の半分以上が影になっていても「そのシーンを表現できれば良いのだ」という考えのもと撮影をするだけでも、表現の幅が大きく広がると思います。

次に映画を観る際は、人物へのライティング効果なんかも意識しながら観てみるとおもしろいかもしれません。

構図

構図による効果の写真

映画を鑑賞しながら、「素敵だな」と心に残るシーンってありません?
自分は思い返すとたくさん出てきます。いま書いている中でもあれもこれもってなってますからね笑
たまにそのシーンだけ見返したりして、何度もその感動を味わいたいと思ったりするのですが、そういった心動かされるシーンにおける構図なんかは頭から離れないものです。

特に思うのは、写真だと構図だなんだと気にされがちですが、映画では映像なので動いていくということもあり、人混みや街中、室内などごちゃごちゃとした写真であれば少し避けてしまいそうになる不安定な構図ながら、ある一定の調和を見出したカメラワークが行われているんですね。

逆に考えると、どのようなシチュエーションであっても、そこには「一定の調和が必ずある」と信じて写真を撮影するようになりました。そうすることで、前述したように初めての場所でも何かしっくりとくるポイントを見つけられるようになります。

話はそれますが、そういった感覚を鍛えるためにあえて見知らぬ場所で撮影したりということもしますね。

感動

感動イメージの写真

忘れっぽい性分ですが、自分が感動したことは比較的覚えている傾向にあります。
で、写真を撮るにあたっても、そういう感動を表現したら良いと思うのです。

インスピレーションをうけるということの項で書いたように、絵的に映画のシーンを再現する、ざっくりいうとパクるだけだと寂しいですよね(笑)。再現できるように練習するという趣旨であれば全然アリだと思うのですが、それをただ作品とするというとまた別かなと。模倣にとどまらず、自分の中で咀嚼した上で、表現したいことを実現するために利用したら良いというのが自分の考えですね。

感動した内容があれば、何故そこに感銘をうけたのかということを自分の中で分析するか、その気持ちを吐き出すことを心がける。多かれ少なかれ、我々は色々な影響をうけて創作活動を続けていると思っていますが、影響を自分のものにできるかどうかということが一つの分かれ目だと思って。

なので、映画を鑑賞していて、「泣けた」とか「笑った」とか「驚いた」とかどのような観点でも良いと思いますが、自分が感銘をうけた点をただ受け流さず、受け容れていきたいですね。

「ああ、この表情にはきっと◯◯な気持ちが込められているに違いない」といった自分なりの解釈を表現することが写真に奥行きをうんでくれると信じています。

長くなりました。
そのうち、実際に自分が影響をうけた映画をまとめてみたいと思います。
今日はこれまで 😀

掲載元:xico、映画から写真のインスピレーションをうけよう!ポートレート撮影に映画鑑賞を活かす心得

PROFILE

黒田明臣

株式会社XICO代表取締役/株式会社アマナ コミュニティマーケティングマネージャー
黒田明臣

株式会社XICO代表取締役/株式会社アマナ コミュニティマーケティングマネージャー
黒田明臣

デジタルネイティブな写真活動を通して、フリーランスエンジニアから商業写真家へキャリアシフト。ビジュアルコーディネートを主事業とする株式会社ヒーコを立ち上げる。SNSと写真をテーマに、企業のビジュアル課題について企画から制作まで幅広く担当。エンジニアリング、マネジメント、写真と異なるスキルをミックスした視点でマルチに活動している。主な活動には、ビジュアルを活用したプロモーション企画からコミュニティマーケティング、SNS時代のフォトグラファーキャリアに関する執筆、イベント、セミナー登壇など。

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