アメリカとカナダの国境地帯から北に広がる広大な森林地帯「ノースウッズ」。写真家・大竹英洋さんは、多様な生きものを育むこの針葉樹の森と湖に魅せられ、20年に渡り写真を撮り続けています。
その集大成となる写真集『ノースウッズ -生命を与える大地-』を2020年2月に出版。世界最大級の原生林で営まれる生命の物語、大竹さんの作品世界をご紹介します。
大竹さんは1999年、野生のオオカミに会うために初めてアメリカ・ミネソタ州北部の森を訪れました。
登山やキャンプを通じて学生時代から自然に親しんできた大竹さんでしたが、初めて足を踏み入れた森はあまりにも濃密で、その声を聞き取ることすら難しかったといいます。
しかしその魅力に取りつかれ諦めることなく通い続けるうちに、活動範囲はカナダにも広がりました。現在も「ノースウッズ」と呼ばれる広大な森林地帯の撮影を続けています。
ノースウッズの撮影を通じて多くの人との交流を重ねる中で、大竹さんは少しずつ森の語る言葉を読み解くことができるようになっていったそうです。
特に大竹さんに大きな影響を与えたのが、先住民族「アニシナベ」の人々でした。創造主から与えられたすべての生命が絶えぬよう保つこと。そのために大地がすこやかで強くあるよう見守り続けること。彼らの教えが、自然を見つめる大竹さんにさらなる豊かな視点を与えてくれたのです。
写真集『ノースウッズ -生命を与える大地-』ではオオカミ、カリブー、ホッキョクグマなどの大型動物の姿や、小さな生きものたちの表情に目を奪われます。そしてさらに人間を含めた生命を育む大自然の懐の深さ、繊細さがひしひしと伝わってきます。
アニシナベの教えを少しずつ実感として理解しはじめた大竹さんは今、その大切な物語を写真を通じて次の世代へと手渡そうとしています。
*2020年6月に、富士フイルムフォトサロン大阪での写真展が予定されています。詳しくは会場にお問い合わせください
https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/osaka/
掲載元:PASHADELIC、自然写真家 大竹英洋「ノースウッズの森が教えてくれた、生命へのまなざし」
森を歩きながら、時にはカヌーを操りながら、20年をかけて森との対話を続けてきた集大成。偉大な写真家 ジム・ブランデンバーグ氏が序文を寄せ、大竹さんの情熱と根気強さ、そしてその取材成果の確かさを絶賛している。
サイズ:238×240mm 216ページ
価格: 2,500円(税別)
発行元:クレヴィス
http://www.crevis.co.jp/publishing/publishing_145.html
大竹英洋
大竹英洋
1975年京都府舞鶴市生まれ、東京都世田谷区育ち。一橋大学社会学部卒業。1999年より北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに野生動物、旅、人々の暮らしを撮影。人間と自然とのつながりを問う作品を制作し、国内外の新聞、雑誌、写真絵本で発表している。主な写真絵本に『ノースウッズの森で』、『春をさがして カヌーの旅』、『もりはみている』など(以上全て福音館書店)。2011年、NHKBS「ワイルドライフ」に案内人として出演。写真家を目指した経緯とノースウッズへの初めての旅を綴ったノンフィクション『そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ』(あすなろ書房)で「第七回 梅棹忠夫・山と探検文学賞」受賞。2018年「日経ナショナルジオグラフィック写真賞 ネイチャー部門最優秀賞」受賞。
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