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小売から文化の創造へ
「ビームス流」ブランドのつくり方

Photograph by whatapicture/plainpicture/amanaimages [TOP]

インテリアデザインやイベントキュレーション、メディアの刊行、地方創生プロジェクトと、ファッションのみならずさまざまなカルチャー、アートを縦横にコネクトして新しい価値観を生み出しているビームス。

まさにビームスは「ファッション=流行」という名のもと、時代の流れを敏感に察知し、最適なビジネスモデルを開拓していった結果、小売の領域を越え、カルチャーの一時代を築くクリエイティブ集団とも言い換えられるかもしれません。

そうした業界の枠にとらわれない取り組みで、時代をリードし続ける存在である「ビームスの価値観」は、どのようにしてつくり上げられているのでしょうか。同社コミュニケーションディレクターの土井地博さんに、これまで手がけられた事例をもとに、「ビームス流のブランドのつくり方」について語っていただくトークイベントを開催します。


―ファッション業界でのビームスの立ち位置は独特だと思います。さまざまなカルチャーや、幅広いカテゴリをキュレーションするという独自のビジネスモデルの背景には、どのような考え方があるのでしょうか?

土井地 博(ビームス コミュニケーションディレクター/以下、土井地):最近、山口さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』を読んだのですが、この中では企業の独創性を支える感性を「美意識」あるいは「アート」と表現していますね。これにはすごく共感しました。

とはいえ、企業の中でアートの存在は軽視されがちですよね。ビジネスにならないから、すぐに利益に結び付かないと考えられているからでしょう。しかし、そういう意識をビームスでは内側から変えていきたいと思っています。具体的に言えばカタログ、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)や店舗設計、洋服に至るまで、きちんとデザインしていくことを僕らは「アート」だと解釈しています。

―先ほど受付のスペースを見て思ったのが、置かれているもののバラエティが豊かですよね。いわゆるハイブランドや名品と呼ばれるファニチャーがあるなかに、時折カジュアルなテイストのものが混ざっていたりして。

土井地:いわゆる「編集」する能力や技術が、会社の魅力につながると考えています。いまは、メジャーなもの同士を掛け算して「すごいでしょ」「楽しいでしょ」という時代ではないと思うんですよ。そうではなく、20万円のジャケットと、その横にある800円の陶器を同じテンションで見てもらいたい、そういう価値観を醸成していけたらと思っていますね。

―ビームスのビジネスは、ファッションの小売りにとどまらず、他業種とのコラボレーションやクリエイティブな活動のスポンサードまで多岐にわたっています。独自のスタイルでブランディングをされてきたわけですが、そこで重要になってくるのが社員のモチベーションやクリエイティビティだと思います。どのような人材育成に取り組んでいるのでしょうか?

土井地:仕事って、大きく3種類に分類できるんじゃないかと思っています。ひとつは「Labor」。義務としての労働ですね。ふたつ目は「Work」。これは一般的な仕事の概念に近いかもしれません。配属された部署で与えられた仕事をこなす。そのなかに少し、自分らしさを加えていくというような。

そして最後が「Play」。これは、日本人がおそらくいちばん苦手な働き方なんじゃないでしょうか。日本で唯一「Play」が実行できているのはスポーツ選手だけです。だから彼らは「Player」と呼ばれています。仕事から遊びまで地続きでいる方が発想が柔軟になりますし、いいアイデアも浮かぶと思います。そういう働き方ができるように、会社として取り組んでいることはいろいろありますね。

スーパースター級のリーダーが会社を引っ張っていくみたいなモデルは、いまとなってはあまり有効ではない気がしています。野球で言えば、往年の王貞治氏と長嶋茂雄氏みたいなスター選手がチームを支える時代ではない。エースと4番だけで勝てるほど、勝負は単純ではなくなってきているんですよ。それよりも打撃がうまい選手、守備がうまい選手、足が速い選手、それぞれの特徴を見極めて、そのパフォーマンスを最大化できるようなオーダーを組める会社であり組織づくりが求められているんじゃないでしょうか。

―1番から9番まで、全員に明確な役割があるということは大事ですよね。そしてその打順を編集・キュレーションする人材の育成は、現代どの企業にとっても重要な課題だと思います。

土井地:役割というキーワードからもうひとつ。事業の終わりって、なんとなく「うしろめたさ」があるじゃないですか。終わらせる、手を引く、という言葉にはネガティブな要素がつきまといがちです。最近うちの会社ではこれに代わるいい言葉として、「役目が終わった」という言葉を使っています。「次のステージに行くための準備が済んだ」と考えるようにしているんです。

こだわって続けるということにも意味はあると思うんですが、引き際を心得ることも大事だと思います。僕らは老舗の菓子屋ではないので、ひとつのことを突き詰めていかなくてもいいわけです。むしろ逆に、時代に柔軟に合わせていくことが自分たちに求められていることなんだと思っています。

時代の変化に敏感であるために、社内のコミュニケーション方法を工夫しています。入社1年目の若手から壮年の管理職まで、さまざまな世代の解釈や価値観を集約して方針づくりに活かしています。遠い未来のことはわかりませんが、時代の半歩先を見据えて取り組むことで、自分たちの豊かな未来をつくっていけるのではないでしょうか。

INFO イベント情報

開催日時
2018年4月24日(火) 17:00~18:30
料金
2,500円
定員
72名

ACCESS アクセス

amana square

住所:〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-43
TEL:03-3740-4011 (代表)

電車でのアクセス
東京モノレール:天王洲アイル駅より
南口改札を出て山手通りを右(新東海橋方面)へ。 品川埠頭入口交差点を渡り、ボンドストリートを右折。 徒歩5分。
りんかい線:天王洲アイル駅より
改札を出て品川埠頭入口交差点を左(新東海橋方面)へ。 ボンドストリートを右折。徒歩5分。

お車でのアクセス
駐車場のご用意がございませんので、公共交通機関をご利用の上お越しください。

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